ART SG
2023.1.12-1.15

シンガポールのアートフェア「ART SG」に参加し、都市の風景を取り入れた映像・絵画作品を発表した。ガーデンズ・バイ・ザ・ベイのスーパーツリーなど象徴的な景観をコンピューター上の仮想世界へ取り込み、そこから切り出したイメージを提示している。さらに、アートフェアのホワイトキューブ空間自体も仮想世界内に再構築し、入れ子状の構造を設定した。また、シンガポールの多国籍文化や歴史に由来する文様や様式を取り入れた《Window》シリーズも制作。都市の記憶と仮想の風景が重なり合う知覚体験を試みた。
アジア最大のアートフェア、ART SGに角文平・原田郁が参加
久しく待たれていたART SGがコロナ禍を経てようやく2023年1月にシンガポールのアートフェアとして開幕することになった。アートフロントギャラリーは2013年からArt Stage Singaporeに参加してアジアの顧客にギャラリーの作家を紹介してきた。またART SGのディレクターであるMagnus Renfrew とはTaipei Dangdai 以来 、フェアやオンラインイベント等を通じて関係性を構築し、ART SGに新たな一石を投じようとしている。来年1月から開催されるART SGには150を超えるギャラリーが出展、アジア太平洋地域では過去10年で最大のアートフェアとなる。シンガポールを代表するアイコニックな場、マリーナ・ベイ・サンズとコンベンションセンターで開催され、周辺各国からのコレクターを含め、2023年の幕開けにふさわしいイベントとなるだろう。
原田 郁 Iku Harada
原田郁は、コンピューター上に3Dの仮想空間を作り、現実世界と入れ子になった作品を展開している。自身のスタイルをつくりあげるきっかけとしては、日常におけるありとあらゆるものが、歴史の中で描きつくされていると思った原田はこれまで誰も描いてこなかったもの、今後も続いていくもの、自ら発展させることができる物という3つの要素を満たすものを考えた。その結果原田が”インナーワールド”と呼ぶコンピューターグラフィックスによる自分だけの世界を作り出すことを考えた。その作風は初期にはその3D化されつつも単純な形態を持つその世界観をキャンバスに描き、仮想空間を現実的にフィジカル化させるだけであったが、
作家はこの20年で実に多くの試みを重ねて世界にも類をみないかたちの絵画モチーフに発展。さらに、仮想現実空間を実体化させるだけでなく、現実世界の空間的モチーフを仮想空間に反映させることで鑑賞者を双方の世界に行ったり来たりさせる作品へと発展した。おそらく彼女は、PCのイメージをモチーフにした作家の中で唯一性を持つパイオニア的存在であり、昨今の日本の主力であるデジタル系アーティストからも一目を置かれている。
シンガポールは中国やマレ―、インド、アラブなど様々な文化が混じり合い、それぞれエリアが分かれているので散歩すると楽しい街でもある。プラナカン文化やイスラム文化などに象徴される幾何学文様がそこかしこにあふれ、その奥に広がる風景へと視線を誘う。ローカルな人々との交流も意識した、最新作だ。
角 文平 Bunpei Kado
角は2013年のArt Stage Singapore に参加して以来、様々な海外フェアにて実績を重ねてシンガポールに戻ってくる。長年テーマのひとつとしている都市の中の自然、人工的な自然をここまで問い直すことになるだろう。というのもシンガポールはそもそも都市部が中心で、政府主導で植物園が計画されたことでもわかる通り、自然をどう残すか、開発とどう折り合いをつけていくかは長年の課題であった。角文平は、こうしたいわばヘビーな社会問題を軽やかに作品を通して提案してみせる。
オモチャのツリーキットもスケールが肥大化すれば別次元の問題を投げかける。
2016年に制作されたこの作品は、文字通り酸素が樹木によって生成されるのを我々が吸っている、自然のサイクルなしには我々の生活は成り立たないというメッセージがこめられている。コロナで酸素マスクなどが一層注目されるこの時代を予見しているかのような作品。
このほかにも、住生活をテーマにした《Detached Condominium》などを出展予定。フランスの美術評論家、クレリア・チェルニックによれば、角のアートは「軽やか」だという。
角文平の世界は、二重の意味で「サスペンス」だ。彼の世界は重力から解放され、シリアスな意味からもつきぬけて地面から立ち上 がる点で「宙ぶらりん」。面白いことに、重力を考えれば考えるほど、その繊細さや不安定さが際立つ。世界はサスペンスで危険で脅威に満ち、そのバランスは危ういばかりか失墜の時が迫りくる。
モノとモノを組み合わせ、コラージュする手法は、世界を詩のように取り扱い、また同時に世界を疑う、否もっといえば謎にかけているようで、批評性や政治性を帯びてくる。シュルレアリストたちが「世界を変革する」野望を抱いたことを思い出そう。彼らのいう「生の変革」とは、詩の革命と政治の革命とを分かちがたく結びつけながらも決して両者を混同する意思はなかった。美学と政治学との弁証法を説きながら、コラージュ的なはめこみ手法と「異形」は世界を見る新たな視線の道具となるだろう。つまり、裸眼では追うことのできない微細な物質を顕微鏡が明らかにするように、望遠鏡があれば遠くてみえないものが見えてくるのと同じように、軽さと重み、ユーモアと真面目さを取り合わせて融合することにより、角文平は現代社会の見えない矛盾や不条理を明らかにしてくれるのだ。
日常から出発して遠くに飛翔させてくれる原田、角の作品にご注目ください。
ART SG
Art Front Gallery Booth : FC12
出展作家:角文平・原田郁
会場:マリーナ・ベイ・サンズ+コンベンションセンター



















